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横顔もカッコイイ。そう思う私は末期だろうか。
いけない、このままでは本当に真祐に惚れてしまいそうだ。
“ごっこ”にした意味がなくなってしまう。
「え、てか電車のるの?市内にも映画館あんじゃん」
って言っても、こっから自転車で三十分ぐらいかかるけど。
「あっちは映画の後なんも出来ないだろ。近くになんもないし」
喋りながら真祐は電車の切符を買う。
それを押し付けるように私のカバンに突っ込んだ。
「あっ、お金っ」
「いらんわ。俺のわがままに付き合ってもらってんだしな」
真祐はそう言って照れくさそうに頭をポリポリとかいた。
「うう……なんか気持ち悪いよ。女扱いされんの慣れてないから」
「あれ、お前恋人いたんじゃなかったっけ?」
「いたけど、ワリカンだった。相手バイトしてなかったし」
「男として最低だな。やっぱ付き合うなら俺みたいな男じゃないと」
真祐はそう言って、無邪気にケタケタと笑った。
とりあえず自意識過剰乙。と言ってやりたい衝動に駆られたがこれは真祐の思い出作り。
せめていい思い出を作って欲しい。そう思ったらなんだかいえなかった。
Noといえない日本人、まさに私のことかも。
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