初デート

4/13
前へ
/169ページ
次へ
「女を奢んなきゃいけないなんて法律はないけどね」 あれ、私女なのになんでこんなセリフ吐いてんだろう。 時々自分の言ってることがわかんなくなるよ。 「でも、男としたら奢ってやりたく思うよ。どんなに金がなくてもおれはね」 真祐はそう言って手を繋いでいない方の手で照れたようにポリポリと頭をかいた。 はずかしーやつめ。ソッチが照れてるとこっちまでなんか恥ずかしくなってくるじゃないか。 「お前、いつかぜってー騙される」 苦し紛れに、そう呟いた。 私はけっこう負けず嫌いだ。 お互い照れている、つまり引き分け。 でも、引き分けは負けと同じように思う。 ただその言葉で勝ちに変わるわけなくて、真祐に苦笑いされながら簡単に返されてしまったけど。 「もう騙されてるから安心」 それってどういう意味だよ。 そんな意味を込めて、真祐のわき腹を小突いてやった。
/169ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1768人が本棚に入れています
本棚に追加