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ごとん、ごとんという規則的な電車のゆれが、私たちの身体を揺らしていた。
足元から温風が流れてくるのを感じる。
この時期、車内には暖房が入っている。
奇妙な暖かさ、まぁ寒いよりはマシなのだが。
電車の中に入っても、私たちの手はつながったままだった。
自分からも離そうとはしなかった。
真祐の手のぬくもりが、手を離した瞬間氷水のように冷たくなってしまうような気がしたから。
何だかんだ言ったって、私は真祐のことが大切なんだ。
でも、コレは恋愛なんて流動的な感情じゃない。
一番近いのは、そう“友情”
しかし、仮に私の真祐に対する感情が友情だとして、友情だけで“恋人”になるなんておかしな話だ。
いや、今の時代エッチがしたいから恋人を作る人間もいる時代。
私のような人間がいたっておかしくもなんともない気がする。
「あ、そういや何か質問ある?」
真祐が思い出したように言った。
「……んぁ?何がよ」
深く考え込んでいた最中に話しかけられたので多少反応が遅れた。
「んー、だから俺のスリーサイズとかスリーサイズとかピーの大きさとか」
「ピーって何?クワシクヨロシク」
嫌味でかえしてやると、真祐は困ったように笑った。
「お子様が聞いてるかもしれんから言えませーん」
むしろ言ったらどんびきだ。間違いなくこれから真祐を見る目が違くなるだろう。
恋人ごっこをやめるかもしれない。
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