最後の日常

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「大和、起きろ」 日高の声が耳元で聞こえた、のろのろと顔を上げると授業はもう終わっていた。 大和若奈(やまとわかな)それが私の名前。 余談だが、小さい頃はワカメちゃんといじめられていた。 「よく寝てたな」 「んー」 日高は私の頭をポンと叩くと男友達の方へいってしまった。ちょっと残念。 校則違反ギリギリなぐらい長くてちょっとくせっ毛な髪、人懐っこい笑顔が素敵な好青年、爽やかな眼鏡。 それが日高謙一という男だ。 文芸部所属(確か部長だ)で将来は小説家になりたいらしい。 夢を持ってる人っていいよね。うん。 胸ポケットに入っている携帯を取り出すとカチカチといじる。 部長からメールが来ているかもしれないから、授業が終わったらチェックは欠かさない。 無視するとすねるのだ。あの子は。 天気予報のニュースがスクロールされている上にちょこんとメールのマーク。 新着メールがあることの合図だ。 部長かな?それともつまらないダイレクトメールかな? だが、そのメールは見事に私の予想を裏切ってみせた。 『From 三城真祐』 ……――みき、まひろ 一瞬、目を疑った。三城が?どうして私に? メールの内容は今度会えないか。ということだった。 少し迷ったが、二つ返事でオーケーする内容のメールを書き、送信した。 『送信完了!』の画像が画面に表示されるのを確認して、私は携帯を閉じ、胸ポケットにいれた。 ああ、次は英語か。 英語は好きだから頑張るか。
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