1768人が本棚に入れています
本棚に追加
「大和、起きろ」
日高の声が耳元で聞こえた、のろのろと顔を上げると授業はもう終わっていた。
大和若奈(やまとわかな)それが私の名前。
余談だが、小さい頃はワカメちゃんといじめられていた。
「よく寝てたな」
「んー」
日高は私の頭をポンと叩くと男友達の方へいってしまった。ちょっと残念。
校則違反ギリギリなぐらい長くてちょっとくせっ毛な髪、人懐っこい笑顔が素敵な好青年、爽やかな眼鏡。
それが日高謙一という男だ。
文芸部所属(確か部長だ)で将来は小説家になりたいらしい。
夢を持ってる人っていいよね。うん。
胸ポケットに入っている携帯を取り出すとカチカチといじる。
部長からメールが来ているかもしれないから、授業が終わったらチェックは欠かさない。
無視するとすねるのだ。あの子は。
天気予報のニュースがスクロールされている上にちょこんとメールのマーク。
新着メールがあることの合図だ。
部長かな?それともつまらないダイレクトメールかな?
だが、そのメールは見事に私の予想を裏切ってみせた。
『From 三城真祐』
……――みき、まひろ
一瞬、目を疑った。三城が?どうして私に?
メールの内容は今度会えないか。ということだった。
少し迷ったが、二つ返事でオーケーする内容のメールを書き、送信した。
『送信完了!』の画像が画面に表示されるのを確認して、私は携帯を閉じ、胸ポケットにいれた。
ああ、次は英語か。
英語は好きだから頑張るか。
最初のコメントを投稿しよう!