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「早いな」
やっと来やがった。お前が遅いんだ。と言ってやろうと思ったが、時計の針は待ち合わせ時刻丁度をさしていた。
三城は私が最後に見たときより、確実にかっこよくなっている気がした。
サラサラの髪、澄んだ瞳、綺麗な肌。
中学の時トレードマークだった
眼鏡はなくなり、ダイレクトにユーモアのあるキラキラとした瞳がみえる。
髪の毛も染めているようで、鮮やかな茶色になっている。
身長も大きくなっている気がする。
「三城、久しぶり。かっこよくなったね」
「ははっ、なんかそういわれると照れるな」
三城は頬を赤らめ、頭をかいた。
「身長も大きくなってんじゃない?」
「それはお前が縮んだだけじゃね?」
相変わらずむかつくヤツだ。
こんなのを好きだったなんてなんだかイライラしてくる。
私は、コイツのことが好きだった。それも約三年!
高校に行くと同時に告白されるようになったり、恋人ができたりしたので吹っ切れていたが。
「最後に会ったのは、卒業式だっけ」
私はそういうとココアを口に運んだ。薄い、氷が入りすぎだろう。
私と三城は白波市立桜第二中学出身だ。
一、二年は同じクラス。三年は一組と六組だった。最悪。
その後、私は地元の県立白波商業高校(通称白商)に進学、三城は隣町の県立三河西高校(通称河西・バカ西)に進学。
ちなみに方向は反対方向だ。
「んで、何の用?」
「あんねー、おれねー、んとねー」
どうやらいいにくい話のようだ。
真祐は言葉を捜すようにんーとか、あーとか言い続けている。
「なんだよ。はっきり言えっつーの」
氷をストローでからからとまわす。早くとけろ。私は氷が嫌いだ。虫歯だから。
金かしてくれとか、女紹介しろって内容かな、なんて想像しながらからからとココアをかき混ぜていた。
「んじゃ言うけど。おれ、死ぬんだって」
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