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ピタリ、と漫画のように私の手が止まった。
「……ふーん」
「あれ?意外とフツーだな」
普通なわけがない。バカかお前は、と言いたくなったがやめた。
真祐の前ではいつもの暴言も言えなくなる。なんでだろ。
「なんで?って聞いてもいいの?」
「んとねー、おれねー、不治の病ってヤツなんだってさ。あ、笑っていいよ。
治療法とかも分かってないし、医者も“すじを投げた”状態なんだよね」
「はいはい。“さじを投げた”ね」
冷静に言ってみたものの、私の頭の中はパンクしそうだ。
不治の病?そんな、漫画じゃないんだから! と突っ込みそうになっている。
だが、突っ込んだら負けだ。突っ込みません。勝つまでは。
「ああ、それそれ。んで簡単に言うともう俺は治んないんだって。いつ死んでもおかしくないんだって」
「んで、私に何をしろと?」
そんな話をされたって、いきなり受け入れられるわけない。
「だから、おれの思い出作りに付き合ってよ」
「いいよ。具体的に何すればいいの?」
「おれの恋人になって」
もし、ココアを口に含んでいたら確実に噴出す自信があった。
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