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「ただいま。流理一?」
部屋は暗くて、電気も点いていなかった。
「…流理?」
有理は部屋の電気を点けた。それからソファに座っている流理を見つけた。
「……ぅわ、いるなら返事しろよ。何してんだよ」
「……………」
有理はなんとなく流理の怒りに気付いていた。
だけどあえて何も言わずにいた。
「……有理、何であんなことした?」
「あんなことって?」
「眼鏡外したことだよ!どうしてそんなことしたんだ」
「投げ飛ばされた拍子に眼鏡が外れたんだ」
「ていうかどうして学校行ったりしたんだ。有理は頭が痛くて仕事休んだんだろっ?」
「……流理、ゴメンな」
有理が素直に謝ったことに流理の怒りはすうっと引いていった。
「…オレもゴメン」
「な……、何で流理が謝ってるんだよ」
「有理は学校行きたくても行けないから…オレの代わりだとしても行きたかったんだろ?そんな有理の気持ちもオレには考えられなかった」
「バカ、いい人過ぎなんだよ!そんなんじゃ詐欺に遭うぞ」
「そうかな」
有理は流理のそんな性格を心配していた。
でも自分もそれを利用していることに代わりない。
……でも今はまだ大丈夫ならいいかなと思う。
「本当はお前の弁論大会の原稿見たかっただけなのに」
「えっ、それが理由!?」
「感動したよ、お兄ちゃん♪」
そんな幸せなときにも、ふたりに忍び寄るものがあった。
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