◆太陽と月◆

41/48
前へ
/845ページ
次へ
「……兄弟って……いいね」 女の子は下を向いて俯き、羨ましそうに言った。 「ハハハ! なんか今日はおしゃべりだな。何かあった?」 「……別に……何もない……」 「お前のことだから、そうだなぁ……アイスの当たりでも当たった?」 「……違うもん……」 女の子は顔をぬいぐるみで隠しながら言った。 華月はその仕種を見て、尚更笑っていた。 「……もう……帰る」 「悪い悪い、笑いすぎたよ」 「……それが……原因じゃない……今日は……新しいぬいぐるみ……買いに行く日」 「どうせ、歩きだろ? 車で送ろっか?」 「……一人で……行きたい……」 そう言って、女の子は部屋から出て行った。 女の子が出て行ったドアを見つめながら、華月は困ったように頭を掻いた。 「……また、あいつに借りが出来たな」 華月はソファーに横になり、天井を見ながら呟いた。 華月はダークナイトが捕まえたセイバーナイトを逃がし、泰陽にあげた。 それは裏切り行為だが、女の子が黙認してくれるおかげで無事に済んだのだ。 「……寝よ」 華月はそのまま、仮眠をとることにした。
/845ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10773人が本棚に入れています
本棚に追加