10773人が本棚に入れています
本棚に追加
「……兄弟って……いいね」
女の子は下を向いて俯き、羨ましそうに言った。
「ハハハ! なんか今日はおしゃべりだな。何かあった?」
「……別に……何もない……」
「お前のことだから、そうだなぁ……アイスの当たりでも当たった?」
「……違うもん……」
女の子は顔をぬいぐるみで隠しながら言った。
華月はその仕種を見て、尚更笑っていた。
「……もう……帰る」
「悪い悪い、笑いすぎたよ」
「……それが……原因じゃない……今日は……新しいぬいぐるみ……買いに行く日」
「どうせ、歩きだろ? 車で送ろっか?」
「……一人で……行きたい……」
そう言って、女の子は部屋から出て行った。
女の子が出て行ったドアを見つめながら、華月は困ったように頭を掻いた。
「……また、あいつに借りが出来たな」
華月はソファーに横になり、天井を見ながら呟いた。
華月はダークナイトが捕まえたセイバーナイトを逃がし、泰陽にあげた。
それは裏切り行為だが、女の子が黙認してくれるおかげで無事に済んだのだ。
「……寝よ」
華月はそのまま、仮眠をとることにした。
最初のコメントを投稿しよう!