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場所は煉の自宅。
泰陽は1階のソファーに寝かせた。
煉は熱がひかない為、2階のベッドで寝かせ、里奈と菊、沙助が付きっきりだった。
里奈は小さいタオルを冷たい水に付けてしぼる。それを煉の額に置く。さっきからこの作業を何度繰り返しただろうか。
煉はまだ意識が戻ってない。
「すごい熱……」
里奈は手の平で煉の額をさわる。手の平から熱を感じながら里奈はそう呟き、喉が渇いた為、階段を降り1階に向かう。
里奈は煉の家に遊びに行く事が多い為、里奈専用のコップがある。
そのコップに水を注ぎ、すぐに飲み干す。
壁に掛けてある時計を見ると……
(7時か……家に着いたのが5時ぐらいだから、2時間は経つか……)
その時……
「……うっ……」
ソファーで寝ていた泰陽が起きた。
すると泰陽の隣で寝ていた茶色い猫も起きた。
「あれ?……ここどこ?」
泰陽は辺りをキョロキョロ見渡しながら言った。
「泰陽! 起きたの? ここは煉の家だよ」
里奈は泰陽に駆け寄り、そう言った。
「起きた?……!!……兄貴は!?」
「もういないっスよ」
泰陽の質問を猫が答えた。
「武器猫……あの兄貴が夢だったら……」
心の底では、公園の出来事は夢だと思いたかった。
しかし、喋る猫が目の前にいることで、夢ではないと改めて実感する。
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