◆太陽と月◆

43/48
前へ
/845ページ
次へ
「そういえば煉は?」 泰陽は辺りを見渡しながらそう言った。 「煉なら……疲れて寝てるよ」 重傷で寝込んでいると言えば、それをやったのは華月な為、泰陽はきっと自分を責めると里奈は思い、嘘をついた。 「……本当か?」 泰陽はうたぐり深い目で里奈を見る。 「う、うん。本当だよ」 「里奈ちゃん、気ィ遣わなくていいから。友達が家にいるのに、寝てるとか、煉の性格じゃありえない……俺みたく気絶してんのか?」 嘘をついても無駄だと思った里奈は、正直に話すことにした。 「……レーザーみたいなので、脇腹を貫かれた。止血はしたけど、意識がないの」 「何だって!?」 それを聞いた泰陽は、驚いた後すぐに2階の寝室に向かう。 ベッドを見ると、煉はまだ意識が無い状態だった。 「悪い、煉……俺の馬鹿兄貴のせいで……本当に悪い……」 里奈が思ったとおり、やはり泰陽は自分を責め始めた。 「泰陽は悪くないよ!?」 「うむ、拙者もそう思う」 里奈と沙助は落ち込んでいる泰陽に言った。 「悪いに決まってる!!……百歩譲って悪くないにしても、悪いと思わなきゃ、まともに煉の顔を見れねぇよ」
/845ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10773人が本棚に入れています
本棚に追加