◆太陽と月◆

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その頃…… 場面は泰陽のマンションの自宅。 泰陽は自室のベッドに座りながら俯いて深く考え込んでいた。 猫は勉強机の上に座り、そんな泰陽を観察するように見ていた。 (兄貴……何があったんだよ……) 泰陽は家に帰ってからずっとこの調子だ。 黙って見ていた猫だったが、流石に呆れたのか深い溜め息を吐くと…… 「……ふぅ、しょうがないっスね」 シャッ!! 泰陽の顔を引っかいた。 「ぬぉわ!? いってぇな!! 何すんだよ!!」 泰陽は顔を押さえながら、猫に言った。 「考え込んだら、何かが変わるんスか?」 「あ!?……いや……変わんねぇけど……」 「じゃあ考えるだけ無駄っスよ。前を向かないと」 「……前を?」 泰陽は下を向いて呟く。 「……ふぅ……たしか泰陽って名前っスよね? なら太陽みたく明るくならないと」 「……太陽?」 「兄貴さんが闇に包まれた月ならば、必死になって照らさないと。太陽と月は助け合ってこその太陽と月っスよ」 「……臭い台詞過ぎて言ってる意味が分かんねぇよ……」 猫の言ってる言葉の意味が分からず、頭を抱え尚更考え込む。
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