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そろそろ帰らないと、里奈や泰陽の両親が心配するため、三人と三匹は帰る事にした。
煉は自宅に着くと、いつものように鍵を開けドアを開ける。
「ただいまー」
玄関で靴を脱ぎ、二階の自室に向かう。
そして部屋に入ると、大の字でベッドに飛び込んだ。
「はぁー……疲れた」
「うむ、命懸けだから、疲れて当然だ」
沙助も煉の隣でベッドに飛び込み、一人と一匹は俯せの状態で会話している。
「………煉、実に言いにくいのだが、お前最近変だな」
「突拍子もなく、何言ってんだよ」
「……いや、戦闘中に刀をシェイクするのはよくないなーと思ってな。拙者、少し酔ってしまった」
「シェイク?」
「そう、シェイク! 小刻みに刀を振っていたではないか!」
この時、煉はそのシェイクは恐怖心で刀を持つ手が震えているんだと言えなかった。
華月に恐怖心を捨て切れてないと言われてから、煉は恐怖心があることを自覚してしまい、更にあの時初めて感じた激痛を思い出すことによって戦うことが出来なくなっていた。
最近、悩んでいるのは、自分は足手まといなんじゃないか、もう戦うことは出来ないんじゃないか、というものだった。
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