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「沙助……僕が戦えなくなったらどうする?」
煉は仰向けになり、突然真顔でそう聞いた。
「……そうだな、煉を殺して新しいパートナー捜しをするよ。ってのは冗談だけどな」
沙助は笑いながら言ったのだが、煉にとっては笑えない冗談だった。
「……そろそろご飯作るよ」
煉はベッドから降りて、暗い表情で一階に降りて行った。
沙助は煉のその様子を見て首を傾げる。
「……やはり、変だ」
沙助はそう呟いた。
トントントン
煉はキャベツの千切りをしていると、あることに気付いた。
「手が……震えてる……」
包丁を持つ手が震えていた。
刃物すら、今の煉にとっては恐怖心を引き出す道具になっていた。
煉は座り込み頭を抱える。
(もう……戦うのは……無理だ……!!)
絶望とは少し違う感情が煉の中で渦めいていた。
一方、沙助は煉の学校の夏休みスケジュール表を見ていた。
「ふむ、明日から夏休みか……ん? がっしゅく? 明後日からは合宿か! 煉を鍛えるチャンスだな」
沙助は夏休みの計画に、期待を膨らませていた。
そして、煉と沙助は夕食を食べた後、お風呂に入り、明日の学校に備え、寝ることにした。
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