◆何者!?◆

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煉は深呼吸する。 刀になった猫の有り得ない話や、今自分が殺されそうになっている状況でパニクっている頭を冷静にする為に。 そして、冷静になった頭で敵を分析する。 「(勝手なイメージだけど、あの武器の形状なら突かないと致命傷はあたえられない。つまり、いずれ必ず突きが来る……僕を殺す為に)」 次にイメージしたのは剣道での緊迫とした試合の雰囲気。 試合の相手は一瞬で間合いを詰め突きを放ってくる……煉はそれをかわしカウンターをする……というイメージだ。 「アアアアァァァァ!!」 そして、通り魔は煉のイメージ通りに間合いを詰め、慣れない仕草で突きを放つ。 「ここだ!!」 煉の目は一瞬にして見開かれ、この状況と先ほどイメージした試合を重ねる。 顔面目掛け突進してくるレイピアの鋭利な先端を、煉は体を横にしてかわし、通り魔の懐にするりと入り込んだ。 狙うは隙だらけの腹部! 「胴っ!!」 「うっ!?」 刀の逆刃で思いっきり通り魔の腹部を強打した。 峰打ちと呼ばれるその技を喰らった通り魔は、苦しそうな呻き声を出すとゆっくりと倒れた。
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