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泰陽は温泉に置いてある椅子を積み上げ、その上に乗った。
しかし、てっぺんまではまだ手が届かない。
「ぬぅ、晴也がいれば、こんなベルリンの壁なんぞ破壊してやるのに」
泰陽が色々と考えているとき、煉はふとパートナーの存在を思い出す。
(そういえば、朝から沙助見かけないな……)
その沙助はと言うと、朝から旅館のマッサージマシンを奇妙に使い、夢中になっていた。
そして泰陽は積み上げた椅子の上で必死にジャンプしていた。
「あーあ、あんな不安定な場所でジャンプなんてしたら……」
草部が言いかけると、予想通り。
積み上げた椅子は崩れ、足を滑らした泰陽は後頭部を打ち気絶した。
「馬鹿としか言いようがないな……」
草部がそう言うと……
「誰が泰陽の介抱するの?」
煉が疑問に思っていたことを聞いた。
「俺は嫌だぜ? 地味、お前がや……れと思ったけど……」
既に地味の姿がなかった。
「存在感が薄いのを利用して逃げやがった」
「僕も逃げよっかな……」
「頼むから手伝ってくれよ」
そして、煉と草部は協力して泰陽を介抱した。
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