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「確かに世界の危機なんて全然実感無いけど、ほっとく訳にもいかねぇだろ?」
「……はい」
「それにお前は怖いんじゃないと思うよ」
「え?」
煉は驚いた顔をして言った。
「戦う目的だよ。何で痛い思いまでして戦わなきゃいけないんだろう、って思ってるんじゃないか?」
煉は言われた時、沙助と出会った時のことを思い出した。
半ば強制的に巻き込まれた煉にとって、戦う理由などまるでなかったのだ。
「じゃあ、先輩の戦う理由は?」
「理由は至って単純。こいつらが困ってるからさ」
啓吾は肩に乗っている猫を指差しながら言った。
「困ってる奴を助けるのは基本だろ?」
「……はい」
「いずれ見つかるよ。戦う理由が。焦らないでゆっくり探せよ」
「……はい」
「さて、この話しは終わり。他に質問は?」
煉は後一つだけ、気になることがあった。
それはさっきの啓吾の戦闘である。
一歩も動いていないのに、猫は斬られていくという、とてつもない強さの秘密が知りたかった。
「先輩、さっきダークナイトと戦った時、先輩動かないで追い払いましたけど、何したんですか?」
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