10773人が本棚に入れています
本棚に追加
「今まで煉が約束を破ったことなんてないのに……誘拐とかに遭ってたらどうしよう……」
里奈は携帯を開き画面に映る時刻を見る。
時刻は十九時。メールや着信は勿論来ていない。
そして、もう三十分近く待っている。
その時一人の少年が校門の外側から走ってくるのが見えた。
「ご、ごめん里奈、遅れちゃって」
目の前で止まると息を整えながらそう謝る煉。
肩で息をしているのを見るとずっと走って来たのが分かるが、何故だかまるで何かから逃げてみた雰囲気だ。
「遅い! 心配するじゃない! それに何で学校の外から来たの? 学校にいたんじゃないの?」
「ああ、まぁ、なんか色々あってさ。と、とりあえず買い物行こ!」
煉は里奈の手をとり走り出した。
路地裏で起こったことを早く忘れたかったのだ。
デパートの地下食品広場。
日用品売り場で買い物カゴ片手に並んであるく二人。
「里奈もう終わった?」
必要な食品と日用品をカゴに入れ終えた煉は、安い洗剤を選んでいる里奈にそう言った。
最初のコメントを投稿しよう!