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「里奈……絶対先輩に属性具現を使わせてやろうよ」
「もちろん、そのつもり」
「よし! 来い!」
3人に緊迫とした雰囲気が流れる中……
「晴也さえいれば、俺もあの輪の中に……チクショー!」
泰陽はひたすら腹筋をやっていた。
(煉と木村……こりゃ楽しそうだな)
そう思いながらニヤけていた啓吾は咄嗟にしゃがんだ。
里奈が一瞬で背後をとり、上段蹴りを放っていたのだ。
蹴りを空かした里奈に、双剣で気絶させようかと思った啓吾だったが、それをさせまいと既に煉が刀を振り上げていた。
ガキィィィィン……
金属と金属がぶつかり合う甲高い音。
煉は刀を振り下ろしたが、啓吾は片手に持っている刀で防いだのだ。
そして煉の刀を上に弾き、隙が空いた煉を蹴り飛ばして啓吾は距離をとる。
里奈は煉の所へ駆け付けた。
「大丈夫? 煉」
「うん、何とか」
「先輩、あまりスキが無いよね」
「うん、でも勝てなかったら、この先も勝てないよ」
煉は組み手だからか、もしくは啓吾に相談して気持ちが軽くなったのか、刀を持つ手は震えてなかった。
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