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「ありがとうございましたー」
手慣れた角度でお辞儀をし、元気よく店員は言う。
煉達は会計を済ませると、渡されたビニール袋に食品を詰め込んだ。
そして二人共買い物袋を両手にデパートを出て自宅へと向かう。
煉は家が隣なのにも関わらず、里奈を家の玄関先まで送ってくと言って警戒していた。
勿論、警戒しているのはダークナイトと呼ばれる存在だ。
「別に煉に守られるほど私は弱くないんだけどなぁ。それに家隣だし」
荷物を軽く振り回しながら里奈はそう言った。
「まぁ確かにそうだけど、僕も一応男だからさ。前の大会でどこまで行ったんだっけ?」
「準決勝で負けて3位だったかな? 次こそは優勝狙いますんで、その時は応援よろしくね?」
「う、うん(日本で3番目に強い空手の女の子……やっぱり家まで送る意味ないような……)」
笑顔で小さな力こぶを見せてきた里奈、だがその腕で何人もの強者を畳に沈めてきたのだ。
そう考えると自分の頼りなさに少し悔しさがあったが、里奈とは比べないほうがいいと思い込むことにした。
「煉はしばらく大会ないんだっけ。試合の日にちが決まったら言ってね? 応援しに行くから」
「うん、ありがとう。暇だったらでいいから」
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