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30分後。
「遂に……遂に勝ったぁーー!!」
草部はあまりの嬉しさに席から立ち上がった。
「ハハハ。まぁこんだけやればね。泰陽とか地味君みたいな強い人もいないし」
「あいつらは運がいいだけだよ」
「てか草部、座らないと顧問に怒られるよ?」
「おっと、そうだった」
草部は怒られる前に席に座った。
煉は何となく外を見ると、辺りはすっかり夜だった。
そして皆疲れていたのか、ほとんどの人が寝ている。
「僕も寝よっかな……」
「え? ポーカーは?」
「まだやるの?」
煉は呆れながらも、草部の手にあるトランプから5枚引いた。
(スリーカード……しょうがない……)
煉はスリーカードから2枚を交換した。
草部も2枚交換した。
そして二人同時に手札を見せ合う。
煉=ワンペア
草部=スリーカード
「ま、また勝ったぁ!!」
「じゃあ、僕は寝るよ」
言うまでもないが、煉は勝たせてあげたのだ。
煉の何気ない優しさに気付かず何も知らずに草部は喜んでいた。
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