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一方、高速道路を走るバスの中。
バレー部のバスには生徒会も乗っているのだが、1番前の席に座っている生徒会会長、川田 美雪は何故か神妙な顔つきで扇子を眺めていた。
「……!?」
美雪はいきなり目を見開き、慌てて携帯を取り出す。
そして慣れた手つきで素早く文章を書き、メールを送った。
今度は剣道部が乗っているバスの中。
「ん? メールだ……」
啓吾はポケットでブルブルと震える携帯を取り出し、受信フォルダを開きメールを見る。
内容を見てため息を吐くと、文章を打ち込み始めた。
(学校の屋上にダークナイトねぇ……ただでさえ合宿で疲れてんのに)
啓吾はメールを返信すると、ひそかに迫る来るべき戦いに備え寝ることにした。
「ふあぁー……っくしょん!!」
一方、あくびからくしゃみに繋がりながらと、奇妙な行動をしながら泰陽は起きた。
外を見ると、既に高速道路を降りていて、見慣れた風景が窓から見える。
「おっ! もうちょいで着くじゃん。煉起こそうっと」
泰陽はニヤニヤしながら隣で寝ている煉の鼻に思いっきり指を突っ込んだ。
「ふがっ!! 痛っ!!」
「おー、起きた起きた」
「起きた起きたじゃないよ!! 起こし方ひどくないか!?」
煉は両手で鼻を抑えながら涙目で怒りをあらわにする。
「まぁまぁ、俺ら友達だろ?」
「鼻に指突っ込む友達なんて聞いたことないよ!」
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