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光は段々と消えていく。
泰陽は恐る恐る目を開き周りを見ると、グランドには泰陽と剛しかいなかった。
「み、みんなは!? どこ行った!?」
「他の奴のことは心配すんな。それより自分の心配をしろよ?」
剛は大剣を肩で担ぎ臨戦体制に入ると、不気味に微笑みながら言った。
「ちくしょう……」
仲間がいないという状況に険しい表情を浮かべた泰陽はそう呟く。
そして、体力を削りマガジンを作ると、それを二丁拳銃にセットした。
「銃か……音とか心配しなくていいからな。俺の部下に結界の能力者がいる。学校の周りに結界張って外からは何も見えないし、音も聞こえない」
「つまり、助けに来てくれる奴もいないのか……」
「ハッハハ!! 助けに来たとしても、俺が殺してやるよ」
「……(くそ! 隊長相手に俺一人で勝てんのか!?)」
泰陽は不安に駆られていた。
華月に会う為には命懸けということは自覚していた。
だから煉みたく恐怖心を感じることは無かったのだ。
しかし……
(こいつは今までみたいな雑魚じゃない!)
剛のただならぬ雰囲気が、初めて泰陽に恐怖を感じさせていた。
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