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「う!?」
小田倉は里奈の腹を思いっきり殴り、吹っ飛ばした。
壁に激突した里奈は、傷はあまり無いものの、疲労が溜まり立ち上がることすらできなくなる。
「大丈夫ですか!? 里奈様!?」
腕輪姿の菊は心配してそう言うと、里奈は力無く笑ってみせる。
「ぎりぎりでね。でももう無理かも……」
里奈は殴られる寸前に後ろに跳び、衝撃を減らしていたのだ。
しかし、小田倉の肉体強化は想像以上に進んでいる。
里奈の攻撃では通じない程に。
「ふぅ、殴るのも楽じゃないんだけどなぁー」
小田倉は相変わらずおどけた感じでそう言うと、誰かに背後からトントンと肩を叩かれる。
「ん?」
小田倉が振り返ると、そこには畳んだ扇子を突き出そうとする美雪の姿。
「えい!」
美雪は畳んだ扇子で、可愛い掛け声に似合わない目潰しを繰り出した。
「うぎゃああああ!!」
小田倉が目を押さえ痛がってる隙に、美雪は里奈のところへ駆け付けた。
「大丈夫ですか?」
「怪我とかはたいしたことないんですけど……やっぱり合宿の後だから……」
「疲労ですか……体が動かないんですよね?」
「はい……」
「まだ戦いますか?」
「……?……はい!」
「あまり使いたくはないんですが、疲労を忘れさせてあげます」
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