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里奈達の勝利した時間より少し戻る。
辺り一面真っ白の部屋で啓吾と武田はどちらも全く外傷は無く、静かな攻防を繰り広げていた。
その中で啓吾はある疑問が浮かんでいた。
(こいつ……素人か?)
さっきから武田の振る斧は啓吾にとって避けやすく、戦いに関して素人なのかと思わせる程で、逆にその隙をついて、双剣で攻撃すれば必ず避けられてしまう。
更に言えば、右手に斧を持っているのだが、左手には鎧の手甲を付けていて、まるで使い方の分からない斧では心細いのかと思わせた。
「てやぁー!」
武田は斧を横に振るが、啓吾はそれをしゃがんでかわし、双剣で反撃するが、武田はそれをぎりぎりで避ける。
啓吾は一旦距離をとるために後ろに跳んだ。
「お前……斧使えねぇだろ」
啓吾は片手に持つ刀の切っ先を武田に向けて言った。
「……はぁ、確かに斧は使えねぇよ。だけどこれに選ばれちまったからには仕方ないだろ?」
武田は自分で持つ斧を指差しながら言った。
すると、双剣姿の双太が呟く。
「じゃあ、斧ではない武器を持ってるはず……」
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