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「どういうことだよ。双太」
「アイツは先程、属性具現を発動しました。属性具現が使えるようになるにはある程度の経験が必要です。つまり、斧は使えないけど、一応ここまで勝ち抜いてきたわけです。何か別の武器を使って……」
「成る程……とりあえず属性具現の正体も知りたいし、もういっちょ攻めてみるか」
すると啓吾は刀を一本地面に刺した。
そして空いた片手に電気を集中させる。
「くらえ……《雷槍》!」
電撃を凝縮して作った槍を投げる啓吾。
啓吾が使う技の中で、トップクラスのスピードを持つ《雷槍》だったが……
「おっと!」
軽く避けられてしまった。
「まだまだ!」
啓吾は意識を集中させる。
《雷槍》は一度だけ方向転換が可能なため、背後から武田の持つ斧を貫こうとした。
しかし……
武田は《雷槍》を見もせずに、斧をわざと手放し、猫に戻した。小さい猫になったおかげで攻撃を回避し、《雷槍》は白い壁に突き刺さり、消えていった。
それを観察するように眺めていた啓吾は顎に手を当て考え込む。
「厄介な属性具現だな……」
何かを理解したかのようにそう呟いた。
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