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「はーい!」
煉は相手に聞こえるように返事をしてパジャマ姿のまま、そして片手に食パンを持ちながら玄関に向かった。
ドアを開けると太陽の日差しで一瞬眩しさを感じ、思わず目を細める。
そして、そこには煉より一回り背が小さいがショートヘアーの活発そうな女子が腰に手を当て立っていた。
「ま、まだパジャマなの!?」
少女は煉を見て驚きつつ呆れながらそう言った。
「うん、これから朝食食べるとこ」
煉は欠伸をしながらそう言うと、少女はより一層呆れた表情になる。
「ああもう……ちょっと焦った方がいいと思うよ?」
少女はスカートのポケットから携帯を取り出し待ち受け画面の隅に映る時刻を見せてきた。
ちなみに煉は東丘高校に通う高校一年生。
学校には八時半までに登校する。
煉の家からは約十分程度。
里奈の携帯には、八時二十分の文字。
ちなみに煉はパジャマのままで何の準備もしてない。
「ん? それ時刻合ってないよ?」
「合ってないのは煉の目覚まし時計。あたしは先に行くからね」
少女はそう言うと自分も遅れないようにするため、早足で学校に向かって行った。
「おかしいな……」
そう言いながら玄関の扉を閉め、リビングに行きテレビを見ると、八時二十二分の文字。
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