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そして、煉と里奈が教室に入りそれぞれの席に着くか否や泰陽が二人のとこにやってきた。
「おはよう!! 煉、里奈ちゃん。 今日は一緒に登校できたんだな」
朝から満面の笑顔で話す泰陽、やはり太陽のように明るい性格だ。
「今日は煉が珍しく早起きしてたからね。久しぶりに一緒に来たのよ」
里奈が"珍しく"の部分を強調する辺り、毎日迎えに来てパジャマ姿で出迎える煉に少なからず不満があるのだろう。
煉は苦笑いしながら逃げるように窓の外に視線を向ける。
二人がカバンを机の横に掛けると、泰陽が二人の机に手を置く。
「まったく……家も隣で、席も隣とかどんだけだよ」
「ははは、すごい偶然だよね」
煉は椅子に座りそう答えると、カバンから教科書やノートなどを取り出す。
すると、里奈が両手を合わせ頭を下げてきた。
「ごめん、申し訳ないけど誰か現国のノート貸してくれない?」
泰陽は授業をまったく聞かず寝ているため、その誰かには自然に煉が当て嵌まるのだ。
煉はカバンから取り出したノートを里奈に渡す。
「うん、二時間目の現国までに返してくれれば」
そのやり取りを見ていた泰陽も両手を合わせてきた。
「頼んます! 次、俺に貸してくんない?」
「里奈も泰陽も授業中は寝ないでよ」
煉は呆れながらそう言うと、里奈がノートを写し終わり次第、泰曜にも貸すということになった。
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