◆一緒に◆

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その後、世間話を幾つかすると昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。 そしていつも通りの授業を過ごし放課後。 煉は教科書をカバンに入れ、部活に行く準備をしていた。 「じゃあ帰りは校門に集合ね?」 傷害事件の犯人がこの辺をうろうろしている事を考え、里奈と一緒に帰る事にした。 というより、帰りのHRで必ず二人以上で帰宅することと担任からの指示があったのだ。 「うん、空手頑張ってね」 「任せなさーい!」 煉に満面の笑顔で答え、里奈は体育館の横にある道場へと小走りで向かって行った。 煉も体育館が活動場所なので、カバンに教科書をしまい終えると向かうことにした。 そして体育館の中。 「メーーーーーン!!」 ダークナイトを意識してか、いつもよりも声を張り気合いを込めて竹刀を振る煉。 周りの部活仲間もいつもと違う煉に驚いている。 「ハァ……ハァ……」 「どうしたんだ、煉。そんな張り切って」 息を切らす煉に啓吾が近寄り、そう言ってきた。 「ハァ……ハァ……頑張らなきゃいけない用事が……できちゃったもんで……ハァ……」 「頑張るのはいいけどよぉ、空回りしても意味ねぇぞ? これがいい証拠な」 啓吾が煉の左手を掴み持ち上げる。 元々練習で血豆はできていたが、無茶な練習のせいで幾つか血豆は破裂し血だらけになっていた。
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