◆一緒に◆

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二人は住宅街を歩いている。 両側にそびえる家の塀、その道を並んで歩き、広めに間隔がある街灯のせいで暗い道と明るい道を交互に繰り返していた。 「(大丈夫だよね……犯人に出会う確率なんて、しかもそれがダークナイトなんてことあるわけがない)」 不必要に辺りを見回す煉。 背後から聞こえる微かな物音さえ煉の鼓動を強める。 そんな様子に感づかれたのか、里奈が首を傾げた。 「どうしたの? なんか険しい顔してるけど……」 「え? あ、ああ、いや何でもないよ! ただ怖いなぁと思っただけ」 「大丈夫だよ。犯人と会う確率なんて、ぶっちゃけゼロに等しいもんだよ?」 「まぁ、そうなんだけどさ……」 そうは言っても不安を拭いきれない煉。 そして二人が無言になった時だった。 煉と里奈は足を止め、前方を凝視する。 二人の前方、約十メートル離れた場所に顔をフードで隠している一人の少年? がいた。 その見るからに怪しい容姿が二人の歩みを止めたのだ。 ダークナイト、命懸け、警官を倒す、逃走中、瞬時にそんな単語が煉の頭に浮ぶ。 すると、煉の袖を里奈が軽く引っ張った。 「煉……」 「……犯人な訳がない」 煉はそういうが、里奈の表情は変わらない。 昼間強がっていた時の里奈の面影はなく、袖を引っ張る手は震えていて怯えているのが分かる。
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