◆一緒に◆

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「孝地、今日はあいつらをボコボコにするのかい?」 カヅチと呼ばれた猫はニヤリと笑みを浮かべながら孝地にそう言っている。 「あぁそうだ。しかも今は猫がいないが、あっちの男の方はセイバーナイトのパートナーだ」 そう言って孝地が慣れた手つきでカヅチの背中に手を添える。 すると、カヅチは沙助と同様に光に包まれ、その光は孝地の両手に移った。 段々と光が小さくなり遂には消えると、孝地の手には街灯で鈍く灰色に輝く武器。 長い棒に垂直になるように小さな持ち手が付いたその武器は、煉の知識によれば確かトンファーと呼ばれる武器だ。 「!?……ね、猫が……」 それを目にした里奈は驚きを隠せず一歩後ずさる。 「さぁて、いっちょやるかぁ!!」 トンファーを構え一気に走ってくる孝地。 その直後に、煉の肩に何かが乗っかった。 「スマン! 遅くなった!!」 走ってきたのか、肩で息をしている沙助だ。 「遅いよ! バカ!!」 そう言って沙助の尻尾を握り刀を具現化した煉は里奈の前に出る。 そして、右から迫ってくるトンファーを刀で防ぎ左からのトンファーはなんとか左手で掴んだ煉。 「れ、煉!?」 「里奈、逃げて! 事情は後で話すから!」 煉は両手に込める力を更に強めながら里奈に訴える。 「でも!」 「いいから逃げて!!」 煉は今まで見せたことのない気迫で強く言った。 それが通じたのか、数秒戸惑って立ち止まっていたが、すぐに里奈は背中を向け走り去っていく。
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