◆一緒に◆

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里奈が見えなくなった後、孝地が不気味に微笑む。 「今時正義のヒーロー気取りかよ」 「……巻き込みたくないだけだ」 そう言う煉の手足は震えていて、頭の中はやられた時のことしか想像できないでいる。 するとトンファーを掴んでいた左手は振り払われ、直後に腹部に蹴りを叩き込まれ煉は吹っ飛ばされた。 「うっ! げほ!……はぁ……はぁ…… 」 鳩尾だったのか一瞬息が出来なかったが、すぐに整え立ち上がる。 「何で操られてないんだ……」 操られていれば勝てる見込みがあったが、意志ある人間が相手ならば本当にただの殺し合いだ。 どうやら沙助も同じことを思っていたようで…… 「そうだ! 何故操られてない!?」 煉と沙助の質問に対し、孝地は鼻で笑い呆れた表情。 「ふん、馬鹿じゃねぇの? 単に選ばれただけさ」 「選ばれた?」 煉は孝地の話す内容に耳を傾けながらも、一旦冷静になり状況打破の作戦を必死に練っている……がなかなか思いつかない。 「そう、選ばれたのさ。俺はこいつに会い、言葉が分かり、力を得て、事情を知った。そんで面白そうだから手伝うことにした」 「何で!? 事情を聞いたんでしょ!? そいつらは世界を征服しようとしてるんだよ!?」 「あぁ知らねぇのか。ダークナイトに加担した人間は、征服したあとの世界を俺らにくれるんだよ。実際、ダークナイトの隊長達はパートナーが決まっている」 「隊長?」 「何だそれは?」 煉は沙助から聞かされていない単語が出てきてつい聞き返してしまったが、沙助も聞いてた所を見るとこっちの世界に来てから出来た単語らしい。
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