◆一緒に◆

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「同じこと考えてた!」 そして煉は立ち上がると左腕を庇いながらも孝地に背を向け走り出した。 行き先は学校。 そこなら既にもう夜遅い時間帯な為、先生がいるかもしれないが人は少ない。 「おいおいおい、逃げてんじゃねぇよ! 」 やはり孝地は後を追い掛けてきた。 一方、里奈の自宅前。 ここまで逃げたはいいが、悔しさと煉を置いて来た罪悪感で涙が溢れていた。 「……何で……置いて来ちゃったんだろう……何の為に空手を習ってたんだ!!……」 里奈は悔しさを家の塀にぶつける。 その拳からは血が滲み出ているが悔しさは消えない。 里奈が空手を習い始めた理由に煉の事も関係していた。 煉はいじめられていた時期があった。 いじめられる度に里奈が助けたが、女の子では限度があったのだ。 力の強い男子だと体格の差で勝てない。 だから煉が泣かないように、悲しまないように空手を始めた。 そして自分に誓った。煉は守ると。 しかし守るどころが、守るべき相手に逃げろと言われ、逃げてきた。 里奈は悔しさと悲しさでいっぱいいっぱいだった。
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