◆一緒に◆

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教卓の影に隠れた煉。 すると、足音が一直線に教室へと向かって来て煉の焦りが強まる。 「(来た!)」 聞こえてくる足音が教室に入ってくると乱れていた呼吸を無理矢理抑えた煉。 「(大丈夫だ、見つからない、頼むからお願い!)」 「……いねーか」 夜の暗さが幸いし、軽く見渡しただけだったのか、孝地の足音が遠ざかっていく。 「ぶはぁ!! ハァ……ハァ……」 足音が完璧に遠くへ行くと、煉は抑えていた呼吸を溜まりに溜まった不安と共に吐き出した。 息を整えていると刀が震える。 「昼間にセイバーナイトを見つけたがまだパートナーがいないようだった。増援の可能性があるかもしれん。諦めるのは早いぞ」 「ハァ……ハァ……諦めたように見える? どの道勝てなきゃ殺されるかもしれないんだ。絶対にやられるもんか。とにかく僕らでなんとかするしかない」 「最初からそのつもりだ。煉ならあんな奴、絶対に勝てる」 沙助の励ましに煉は力強く頷く。 しかし、現状とても厳しいことに変わりはない。 煉は左腕を使えず、そもそも戦闘経験で差がついているようだった。 「(何が何でも勝たなきゃ。平気で人を傷つけるような奴なんて野放しにしておけない!)」
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