◆一緒に◆

20/35
前へ
/845ページ
次へ
その頃、里奈は煉が帰って来るのを煉の自宅前で待っていた。 警察に電話しようとも考えたが、煉は刀を持っていたため銃刀法違反で捕まるんじゃないかとあれこれ考え、最終的に止めたのだ。 「(まだ帰ってこない……あたしはどうすればいいの……)」 スカートのポケットに手を伸ばし携帯を手に取る。 画面を見るととっくに九時を廻っていたた。 「(やっぱり足手まといでも煉と一緒にいればよかった……)」 また悔しさや、いろんな気持ちが込み上げてきてそれは涙となって出てくる。 煉の家の塀に背中を預け、体育座りをしてふさぎ込んでいると小さな足音が聞こえてきた。 顔を上げると一匹の白い野良猫が里奈に近付いて来ていた。 猫は里奈を慰める様に足を舐めてくる。 「ありがとう、猫君……あれ?」 よく見るとその猫も泣いていた。
/845ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10773人が本棚に入れています
本棚に追加