◆一緒に◆

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そして里奈は倒れている煉の所まで来た。 「大丈夫? 煉……」 里奈はしゃがんで、心配するように言った。 「大丈夫……じゃないな。左腕が折れてるから」 「わかった。ちょっと待ってて」 そう言った里奈は両手を煉の左腕にかざした。 すると里奈の手から、温かそうな、柔らかそうなイメージの光が出てきて、煉の左腕を包んだ。 光が消えると…… 「ふぅ……もう大丈夫」 「え?」 煉は左腕を動かして見た。 骨折が治って、痛みはまったく無くなっている。 「す、すごい……これって……」 「うん、武器猫の力だよ」 「でも武器も猫も見当たらないけど……」 里奈は武器を持っていなくて、なおかつ猫もいなかったから煉は疑問に思った。 「後で説明するから……まずはあいつを倒さないと」 里奈は視線を廊下の先に向けた。 視線の先には孝地がいる。 いきなり蹴り飛ばされたからか、孝地の顔には怒りが満ちていた。 「てめぇ!! 絶対殺す!!」 「やって見なさいよ!」 「上等だぁ! コラァ!!」 孝地が突っ込んで来た。 「里奈! 危ないよ!」 「大丈夫だから煉は休んでて!」 里奈はそう言うと煉の視界から消えるように一瞬で孝地の背後に移動した。
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