◆一緒に◆

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「沙助! どうすればいい!?」 煉は緊迫した表情で沙助にそう聞く。 「うむ! まずは奴の手からトンファーを離させるんだ! 空手娘! まずはそれからだ!」 里奈は沙助の言葉に頷くと孝地の方を向いた。 「……何するつもりだ? てめぇら……」 孝地は接近戦では里奈に勝てないと分かったのか、トンファーを構え距離を取って警戒している。 「いくわよ!」 里奈はそう言うと地面を蹴り、孝地に向かって走り出す。 「来い! クソ女ァ!!」 孝地はある程度接近してきた里奈の顔目掛け、トンファーを振るった。 里奈はそれをしゃがんで避けて、そのまま足払いをして孝地の体制を崩す。 「ちっくしょ!!」 体制を崩した孝地はかろうじて地面に着いていた右足で地面を蹴り里奈と距離を取る。 里奈は距離を取った孝地に一瞬で接近して、右足で上段蹴りを放った。 孝地はそれをトンファーで防いだが、 「もらった!!」 里奈は防御された右足の足の甲をトンファーに引っ掛け、それを引っ張り孝地からトンファーを奪った。 「煉!!」 里奈はそれを孝地に奪い返される前に煉に投げ渡し、煉はトンファーを両手でキャッチした。 「二本だから、一本取っただけじゃ猫に戻らないか……」 里奈はそう呟き、また孝地に向かって走り出した。
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