◆一緒に◆

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「沙助……僕……斬ったよね?」 煉は刀から手を離した。 そして刀は猫の姿に戻る。 「うむ、斬ったぞ。よくやった」 「え? じゃあこのカヅチって言う猫死んじゃったの?」 「いや死んではないが、殺した。武器猫には魂が複数あると言っただろ? 今のはカヅチの武器の魂だけを殺したんだ。つまりもう武器になることはない、ただの猫だ」 「よかったぁー……あ! 里奈!」 里奈が倒れていたのを忘れていた煉は、里奈の所へ行き、上半身を支えて起こした。 「大丈夫? なんか急に倒れたけど……」 「うん、大丈夫……出ておいで、《菊(キク)》」 里奈は腕輪を外し、床に置いた。 腕輪は光り出し、形を変えて、真っ白い猫になった。 「えっと……煉さん、はじめまして菊と申します」 菊は深々と頭を下げた。 あまりの行儀の良さに煉もつられて、 「えっと……斎藤 煉と申します……えっとはじめまして」 「それより桐宇 孝地は?」 里奈は周りを見渡して言った。 「逃げたみたい。けど武器は無いから大丈夫だよ」 里奈の質問に煉が答え、里奈を立たせて、肩を貸してあげた。
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