◆何者!?◆

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「メーーーン!!」 体育館では剣道部や柔道部の気合いの入った声と、竹刀がぶつかり合う音が響いていた。 そろそろ部活が終わる時間が近付く中、煉は体育館の端っこでタオルを片手に休憩中だった。 「よ、 どうした? 煉。もうバテたのか?」 そんな煉に、竹刀を肩で担いだ少年が近寄ってくる。 「あっ、鈴乃宮先輩」 彼の名前は《鈴乃宮 啓吾(スズノミヤケイゴ)》 三年生で剣道部の部長であり、大将でもある。面倒見が良い先輩で後輩、同級生からも慕われている。 髪型は前髪が眉辺りまでと短く、他に特徴のない髪型をワックスで少し整えている。 笑顔が似合うスポーツマンだ。 「少し休憩してただけです」 「あまり無理すんなよ。ケガは甘く見ちゃ駄目だぞ? 特にお前は期待の星なんだから」 啓吾は煉の肩を叩き、まるで我が子を自慢するかのような言い方だ。 「そんなに期待されても……」 「自分の実力を棚に上げないのはいいことだが、もう少し自信を持たないとな」 「はい、分かってます。あ、今日は先に上がっていいですか? 用事があるので……」 「おぅ! いいぞ! 帰ったらストレッチしっかりやっとけよ!」 最後に煉の肩に活を入れるように叩きそう言うと、啓吾は練習を終わらせ片付けに入るように部員に伝え始めた。
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