◆太陽と月◆

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「そうだ、煉に聞きたい事があったのよ。でもまずは……」 里奈はそう言うと、泰陽をチラ見しながら、わざとらしく咳込む。 「風邪キツいわー、隣町のスーパーのファンタが飲みたいなー」 ピクッ! 泰陽が反応した。 「近くのコンビニとかじゃなくて、隣町のスーパーのファンタが飲みたいなー」 煉は苦笑いしていた。里奈の意図が少し分かったみたいだ。 「買いに行ってくれる優しい人はいないかなー?」 「はいはいはい! ミーが行きます! 是非行きます!!」 そう言って、泰陽は直ぐさま部屋を出て行った。 「まさかこれほどとは……泰陽の扱い方が分かったかも……」 里奈自身ですら想像以上の効果に驚いていた。 煉も泰陽が出て行った方を見ながら苦笑いをしていた。 「菊、大丈夫だよ」 里奈が言うと、菊がベッドの下から辺りを警戒しながら出て来る。 「菊、隠れてたの?」 菊の行動に疑問を抱いた煉は聞いてみた。 「菊は人見知りがちょっとすごいんだよね。知ってる人なら大丈夫らしいんだけど……」 「煉様のお友達が来ると、里奈様は教えてくれませんでした」 菊は少し怒っているようだ。
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