◆何者!?◆

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更衣室で着替えを終え、帰り支度を済ませた煉は体育館から出る。 下駄箱で靴を履き替えると、里奈と約束した校門へと向かう。 外はもう真っ暗で見上げれば月が淡く輝いていた。 「あれ……いない。ちょっと早く来すぎたかな」 校門には誰もいないようで、煉は門に寄りかかり待つことにした。 その時だ。 「君は剣道をやっているのか。拙者と気が合いそうだな」 「!?」 声が聞こえた自分の足元を見ると、今朝出会った喋る猫のおもちゃが煉を見上げていた。 煉は思わず驚き口をパクパクして何かを言いたげだ。 そんな煉を見て猫は呆れた表情になっていた。 「気が動転して喋れないのか? 全く困った奴だ……ってぬお!?」 喋る猫を煉は咄嗟に抱き上げ、近くの人気のない路地裏へと走り出す。 路地裏に入ると肩を上下に揺らしながら煉は猫をゆっくりと下ろした。 「何故、拙者をここへ?」 「あんなとこでおもちゃと喋ったら変人みたいに思われると思って……」 「流石は拙者が見込んだ人間。なかなか機転が利くではないか」 猫はうんうんと頷きながら感心していた。
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