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「ハァ……ハァ……泰陽より?」
「そう。煉って言ったか? お前には勢いがまるで無い。フリしてるだけだ」
「…………!?」
煉は目を見開き動揺する。
この時、華月の言っていたことは図星だった。
煉は剣道でも試合になると強気に見せる。
そうしないと、プレッシャーや緊張感に押されてしまうからだ。
「それにお前、まだ心の底では恐怖を捨て切れてない」
煉は言われて気付いた。
刀を持つ手が震えている。
「……それでもやるしかないんだ!!」
煉はまた華月に突っ込む。
「お前みたいな性格の対処方は分かってるよ」
「うおぉぉぉ!!」
その時、里奈は泰陽を診ていた。
里奈は腕輪のしてる方の手を泰陽にかざし……
「菊、どんな感じ?」
「肋骨が折れてます。他に外傷は見当たりません」
腕輪の姿で菊は言った。
里奈は泰陽の折れた肋骨辺りに手を当て……
「《ヒール》」
里奈の手は光り始め、光り終わる時には泰陽の肋骨は治っていた。
「よし、煉の加勢に行かなくちゃ!」
煉達の方を見ると、二人は鍔ぜり合いの状態になっていた。
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