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その頃、煉はひたすら学校に向かって走っていた。
「ハァ! ハァ!……くそ、しつこいな……!」
「いつまで逃げんだぁ!? おい!!」
全速力で走っている為、なんとか差は縮まらないでいる。
「煉! 左腕折れてるのか?」
沙助は孝地のさっきの攻撃で煉の腕が折れた事に気付いてなかったらしい。
その為、左腕を抑えながら走っている煉にそう聞いてきたのだろう。
「ハァ! ハァ! 多分ね!」
「長期戦はキツイな……学校に着いたらまずは隠れるとこを探せ。一回休んだ方がいい」
「ハァ! ハァ!……うん、わかった!」
そして学校の校門が見えてきた。
門は一メートル以上あるが、身体能力が上がっている煉にはらくらく飛び越えることが出来た。
着地の衝撃が左腕に響き顔をしかめるが、すぐに走り始める。
もちろん孝地も後を追ってくる。
学校に明かりは……偶然にもない。
不幸中の幸いとはこのことなのか、生徒はともかく職員もいないようだ。
煉は学校の玄関のドアを蹴り飛ばし、中に入るとすぐに左右の曲がり角があり、そこを右に曲がって廊下に行く。
そしてすぐ近くの教室に飛び込んだ。
「どこ行きやがったぁ!!……逃げたと思ったら次は隠れんのかよ!! テメェそれでも男か、ああ!?」
孝地の怒声が聞こえてくる、この暗さもあってどうやら見失ってくれたようだ。
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