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「おいっ!起きろ!時間だぞ凪!!」
おやじの声がする。だけどその声は俺に当てられたものじゃない。弟に当てられたものだ。
「うにゅ~まだねむいよぅー;パパー;」
弟が寝呆けた声をあげる。
俺の弟は顔がかわいい。俺が言うのもなんだがそこいらの子役モデルよりもよっぽど可愛いんではないだろうか。
だからホストクラブオーナーをしている親父はまだ9歳の弟を必死に店に連れて行こうとするわけだ。
法は家庭に入らずの精神を大いに利用しているとしか思えない。
稼げればなんでもいいと思っているのだろう。
「なに言ってるんだ!ほら。お客さんがいっぱいお菓子を用意して凪がくるのをまってくれてるぞ!」
・・・物で釣るなよな。
俺は毒ずいた。
「お菓子!?うにゃ!いくくー!」
そしてお前も釣られるな!馬鹿弟;;
親父は凪にタキシードを着せ蝶ネクタイをさせると
「さぁいこうか」
と弟に声をかけ出て行った。
『ガチャン』
玄関のドアが閉まった。
親父は俺のことが嫌いだ。
俺も親父のことが嫌いだ。
というのも俺は今16だが勝手に高校をやめ、かつ店も手伝わないというのがあるからだろう。親父とはもう2ヶ月口をきいていなかった。
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