プロローグ

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俺は高校をやめてから始めたバイトで稼いだ金でノートパソコンをを買った。 前々から欲しかったのだが、親父が絶対に買ってはくれなかったからだ。 けれど親父が俺に厳しいのはきっとそれだけではないだろう。 俺は世に言う施設という所で育った。 生まれてまもなく施設の前にゆりかごごと捨ててあったらしい。 そして俺の小さな手に『このこをよろしくお願いします名前は優斗です』と書かれた紙が握られていたという話を園長先生から聞いたことがある。 そして俺は当時子供ができないと悩んでいたこの石動(いするぎ)家に引き取られたわけだ。 2歳のころに引き取られ、それなりに実のこのように可愛がられ育ったが、俺が6才のころ母さんのお腹に凪ができた。 そして凪が生まれてから、親父は俺をよそよそしく扱うようになった。 それはそうだろう。 実の子ができたら養子なんて邪魔なだけだからな。 けれど母さんは違った。 わけ隔てなく俺と凪を扱ってくれた。 俺は母さんが大好きだった。
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