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「君が朝比奈 ひ君だね」
千秋の言葉にその者はノートから目を離し、顔を上げた。
丸い眼鏡に、どの時代だよ! とツッコミたくなるように、耳に鉛筆を乗せている。
顔は……ごく普通だが。
飽くまでも、千秋の想像による人選だが。
「成る程、熱血を絵に描いたような感じね!」
「いや、僕は――」
「――そこでお願いがあるの」
その者は凄い形相で、一番左後ろの席を指差した。
「僕は高橋! 朝比奈はあっちだ!」
「ええっ? そう……、ごめん」
千秋は、高橋の指さす方をゆっくり見た。
「あの茶髪の男がその〝朝比奈〟だよ」
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