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千秋は、その朝比奈 火を見て硬直してしまった。
見惚れたのではない。
あまりに想像とかけ離れていたから、固まってしまったのだ。
非常に整った顔。
輝度が高く、男とは思えない程サラサラとした綺麗な茶髪。
座っていても分かる高い背。
女子の目に留まる筈だ。
しかし、千秋の想像とは何もかもが違った。
そして、千秋はゆっくり近づいてゆく。
それに気づいて、朝比奈も千秋を見た。
「君が……、朝比奈 ひ君?」
「――アンタは?」
朝比奈は、非常に煌びやかな眼光で見上げてきた。
切れ目で男っぽいが、瞳はきらりと光っている。
「私は八尋。お願いがあるんだけど」
朝比奈は難しい顔をしている。
どこかで聞いた名前だと、感じているのだろう。
「ああ、中間で2――――」
「――ストップ!」
千秋は、朝比奈の発言を強引に止めた。
朝比奈も、千秋が2位である事に傷ついているのだと理解して、口を閉じた。
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