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「千秋ー、早く行きなさい!
菜摘ちゃん来てるんだよ!」
朝、7時45分。
家中に、母親の怒鳴り声が響き渡った。
どこにでもある風景。
今日は天気良好で、日差しもかなり暖かい。
「分かってる!」
そう元気に大声で返事した八尋千秋は、家のドアを勢いよく開けた。
細身で160に近い背、赤みが強い茶髪のストレートヘアーは、邪魔にならないように肩までの長さにしてある。
ヒラリと捲れた制服のスカートの中には、活動家の印とも言えるスパッツが見える。
「おはよー、菜摘!」
千秋は両手を挙げて、迎えに来た友達に挨拶した。
「うん。おはよう、千秋」
菜摘と呼ばれたこの友達の名前は、君島 菜摘。
千秋の親友であり、黒髪長髪で落ち着いた雰囲気がある女の子、……女性と言うべきだろう。
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