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顔洗って歯磨いて、ダイニングでねーちゃんの作った朝食を食べる。
トースト焦がしてないし、オムレツもなかなかいい味付けだ。
ねーちゃんは半端ないドジで、家事でも相当失敗する。
料理もかなり危険だ。
それにしちゃ、今日のは美味い。
朝飯をあっという間に平らげて、ぼーっとテレビを見ていると、ねーちゃんがやけに気合いの入った格好をして1階に降りてきた。
淡いピンクのトップスに白いスカート。
奮発したんだー!…とかなんとか言って見せびらかされた服だ。
今日…普通に授業じゃなかったか?
「あ、今日ちょっと遅くなるよー」
「ん、そっか。どっか出掛けんの?」
「うん!授業終わってから飲み会。家戻ってこれないから、ご飯とか済ませちゃってね」
「はいよ」
ねーちゃんはジャケットに袖を通して、バッグを手に取る。
「じゃあ行ってくるねー」
「ん。…なぁ」
「?」
「今日は失敗しなかったんだな」
きょとんとしているねーちゃん。
俺は目の前の空の皿を指差す。
「美味かった」
かなりの時間差で、あぁ!っと納得して、ねーちゃんはにこっと嬉しそうに笑う。
ねーちゃんがこっちに向き直って、胸を張る。
「まっ、日々成長してますから!」
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