運命を壊す程度の能力

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運命を壊す程度の能力

穏やかに晴れた日。 いつも通り門番の紅美鈴は日課の昼寝をしていた。 しかし、まさか自分の寝言で起こされるとは予想だにしていなかったであろう。 『むにゃ………zZZ………PA……D』 その言葉が口からでた瞬間、大気が見る見るうちに歪んでいく。 その場に居合わせたものは妖精であれ動物だとしても一目散に逃げ出すであろう。無論虫も例外ではない。 美鈴はまだ惰眠を貪りながら器用に立っている。 これから起こる惨劇を知らずに………。    『イマ……ナンテイッタ………?』   『ハイィィッー――――!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいっ!!!』  その声を聞いた瞬間美鈴の脳は起きるなんて次元を超越し、即座に土下座の体制をとり謝罪の言葉を述べていた。 目の前にはこの紅魔館のメイド長、十六夜咲夜が立っている。 全身から負のオーラをだし、口からは煙とも形容しがたい気体がコォーホォーという息づかいとともに溢れだしていた。 『イマ……ナンテイッタ………?ナンテイッタノ………?』 壊れた機械のように同じ言葉を繰り返す咲夜に話を合わせなければ待っているのは死″あるのみだ。 『えっえぇっと、お嬢様がTPOがどうとか言ってたなって思い出してっ!!』 多分、咲夜さんがここまで怒ると言うことは【アレ】絡みと言うことはわかっていた。 それを誤魔化しつつお嬢様を出せば助かる可能性は格段に上がる。 そう考えたのが甘かったのかもしれない。 『そう………ならお嬢様に確認をとってこなくちゃねぇ?その前に【掃除】をしなくちゃ。【時間】をかけずにね?』 お嬢様という言葉で自我を取り戻した咲夜は不適な笑みを浮かべ両手にナイフを出した。 『やっぱり………そうなりますよね………?』   ナイフを頭に受けた美鈴は『アッーー!!』という悲鳴とともにその場に倒れ込んだ。    《ピチューン!!》
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