樹脂高生

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        † 春の温かい日差しの中私は一人暗い陰鬱な世界に……いや喫茶店にいた。 一応この喫茶店は親から譲り受けて経営している。 ちなみにマスター、マスター、と呼ばれるが私にはちゃんと浅子(あさこ)と言う名がある。そこを忘れる愚か者は少なくない。 さて今日のお客さんは…… ああ…ギクシャクした男女だ。 少女は泣いているようだ。 少年は困り顔だ。 私の勘では、きっと何かもめて路上の人々に白い目で見られたせいで気まずくなって我が陰鬱な喫茶店に来たということだろうな。 うんきっとそうだ。 だって一番奥で路上からは見えない位置に座ったのだから。
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